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東京オペラ・プロデュース公演 グノー「ロミオとジュリエット」

 

日時:2007年9月20日(木)/9月21日(金)

場所:めぐろパーシモンホール

 

配役 ( )は21日

ロミオ・・・・・・・・・・秋谷直之(羽山晃生)

ジュリエット・・・・・・・大隅智佳子(鈴木慶江)

マキューシオ・・・・・・・小林由樹(羽渕浩樹)

ティボルト・・・・・・・・西塚巧(江原雅敏)

キャピュレット・・・・・・三浦克次(杉野正隆)

ロレンス・・・・・・・・・森田学(新保堯司)

乳母(ジェルトリュード)・丸山奈津美(村松桂子)

ステファノ・・・・・・・・澤村翔子(木下周子)

パリス・・・・・・・・・・西垣俊紘(白井和之)

グレゴリオ・・・・・・・・和田ひでき(保坂真悟)

ジャン・・・・・・・・・・麻野玄蔵(両日)

ヴェロナ大公・・・・・・・笠井仁(両日)

 

指揮・・・・・・・・・・・マルコ・ティトット

演出・・・・・・・・・・・松尾洋

管弦楽・・・・・・・・・・東京ユニバーサル・フィルハーモニー管弦楽団

   ロミオとジュリエット
 

2007年9月20日(木)東京オペラ・プロデュース公演グノー作曲「ロミオとジュリエット」を観る。

この作品は、同団体が日本初演(1993年)を行い、今回が4度目の上演とのこと。

わが国のオペラ団でグノーの同作品を上演したのは、藤原歌劇団(2004年)で、主役は、サバティーニ&ボンファデッリ、中鉢聡&高橋薫子で上演している。

私は「ロミ・ジュリ」は芝居、バレエ、映画は一通り観ている。オペラもベッリーニ版の「ロミ・ジュリ」は観ている。

しかし、グノー版はやっと今回初めて観られた。

ちなみにベッリーニ版とグノー版は同じ素材を扱っていても、内容はかなり違う。@ベッリーニ版はロミオがメゾの男役Aベッリーニ版は、シェークスピアの本ではなく、シェークスピアが台本を書くために使った原典の物語をロマーニが脚色したものに作曲した、のである。

グノー版は、ほぼシェークスピアの台本通りに進行する。

 

20日の上演について良くなかったこと。

@予算が少ないのは民営オペラの悩みのタネだが、それにしてもセットが貧弱だった。1幕のキャピュレット家の舞踏会の場は特にそう感じた。

Aやはり1幕の舞踏会のシーンで、何も新国立劇場バレエ団のように踊るのは無理としても、ワルツでの動きが鈍重で不満あり。

B合唱はもっとパワーが欲しい。特に冒頭のロミオとジュリエットの悲劇を語る合唱は、素人合唱団ぽい。

 

苦言はあるけど、やはり実演はいい(^^)

 

キャストで一番良かったのは、ジュリエットの大隅智佳子。

未だ27歳の若さで堂々の主役である。密度が濃く、よくコントロールされた声で、逸材の呼び声高いのも納得。大隅のジュリエットは、14歳という年齢設定のジュリエットにしては結構成熟している印象。明るくエネルギッシュで、舞台をグイグイ引っ張ってゆく。ラストのロミオとジュリエットの死が、そういうジュリエットだから、余計悲しくなる。グノー版の「ロミ・ジュリ」には愛の二重唱が4回(1幕、2幕、4幕、5幕)ある。特に4幕の別れの二重唱は、幕が開くと、2人がベッドの上で抱き合っているのだが、私としては、メトで予定されている12月公演でネトレプコ主演の「ロミ・ジュリ」の扇情的な宣伝写真も「おーっ」だったが、これも最初「ドキッ」であった。

それにしても特に1幕のジュリエット、アンジェラ・ゲオルギューみたいだった(笑)

 

ロミオ様の秋谷直之は、数々のオペラで主役を演じている人であるが、背丈もあって見栄えもする。ロミオはテノールの役だが、印象としては、輝かしい高音連発、というより、中音主体で、確かな歌唱力を要求する役、だと感じた。秋谷は、大隅智佳子に対し、パワーで一歩譲るかな?とも思った。しかし、それは承知して、大隅が良く聴こえるようにコントロールして溶け合うように工夫していたようにも思う。声質はリリコスピントに分類されるタイプになるか。

 

マキューシオ(メルキュシオ)は、作品きっての元気印男だが、20日のマキューシオは、ワイルドな長髪とちょっとキザな?小林由樹が演じた。もう一人「ロミ・ジュリ」を沸かす重要キャラのティボルト(ティバルト)はテノールの役で、イタリアを活動の拠点とする西塚巧。

だが、オペラでは2人とも“毒”が抜けている。一応シェークスピアの本の役どころは抑えているけど、どうも・・・・・・・・・。

本オペラではジュリエットの母キャピュレット夫人が消されているのが、“毒”の抜けた大きな要因だと思う。夫人は戯曲、映画、バレエのどれをとっても重要な役なのだが。結局、愛の二重唱に酔うのがオペラだから、という理由であろうか。

一方で、ジュリエットの父はオペラでは大活躍である。20日の父役の三浦克次は藤原歌劇団のベテランだが、朗々たる美声でソロを歌うシーンがふんだんにあり、さすがの歌唱だった。

乳母はジェルトリュードという名前が与えられ、しかも夫人に代わり、家を仕切っているらしい。

儲け役と言えるのが、ソプラノの男役ステファノ。ステファノがキャピュレット家を揶揄する歌を歌ったため、マキューシオとティボルトの死を招く、という独自の仕掛けがあるのだ。オペラはソプラノが活躍しないと盛り上がらない、というお約束から発生したものであろう。ちなみに以前の藤原の公演では、ボンファデッリをゲストに迎えていたといえ、野田ヒロ子がステファノを歌う、というゴージャス布陣が敷かれた。乳母は森山京子だった。

 

この先は21日の感想になる。

 

まずは鈴木慶江(すずきのりえ)のジュリエットから。

鈴木は、コンサートのみならず、テレビにも登場しているので、知名度の高い歌手である。詳細は、鈴木ファンの方がよくご存知と思う。

しかし私は、これまでは鈴木に疑念を抱いていた。テレビで歌っている鈴木を見ても、彼女の良さがまるで掴めなかった。どちらかというと、CDと、恵まれた容姿が頼りのイメージ先行の歌手、と思っていた。そこへ、鈴木の真価を知るにもってこいの公演が行われると知り、飛びついたわけである。

鈴木のジュリエットは、登場から華があり、いやでも目を惹いた。

自己プロデュース能力は、大隅智佳子より数段上である。声量は飛びぬけてあるわけではないが、可憐な娘役振りは本当に見事なものである。とにかく絵になる。というわけで、イメージ先行の歌手、という図式は完全に否定され、とても良かった。

だが、パワーではさすがの鈴木も大隅に譲る。大隅のジュリエットは、先述しているが、声量豊かなだけでなく、14歳の子供らしからずセクシーである、ということが改めて認識された。道理でラヴシーンも濃いわけである。これも先述しているが、4幕の愛と別れのシーンでは、真面目に、ベッドの上で仰向けのロミオに、うつぶせに乗っかているジュリエットの姿から、ジュリエットの喘ぎやロミオのため息が聞こえてきそうだ。

でも、羽山晃生と鈴木慶江の4幕はここまで濃くはなかった(笑)

 

ロミオ役の羽山はリリコレジェーロ寄りの声で、初日の秋谷直之よりは軽い声であるが、発声技術は羽山の方が安定しているように思えた。但し、役柄表現自体は、秋谷の方が濃いようにも思えた。

おそらく大勢の意向としては、羽山と鈴木のペアの方が着実とみて、こちらに期待しているファンが多かったと予想していたが、蓋を開けたら、一途な恋の情熱は、秋谷と大隅のペアの方から強く感じた。

 

その他のキャストについて。

マキューシオは、ルックスとキャラ立ちでは小林由樹に、歌は羽渕浩樹に軍配、というのが最終的な印象。

ティボルトは、ロミオを脅かすテノールがやれば面白いのに、と思う。

キャピュレットは、これは三浦克次がずんと良い。キャピュレット家の長としての格、歌い口ともに三浦が断然良かった。

ロレンスは逆に、21日出演の新保堯司がこれまた断然ハマリ役。ロミオとジュリエットの良き理解者というニンが、こちらが良い。お説教も説得力があるし、さすがオペラのベテラン、と唸った。

ステファノは、澤村翔子、木下周子ともに好演したのだが、ズボン役を得意とするという澤村に☆ひとつ追加したい。

パリスは、20日出演のお坊ちゃま君風の西垣俊紘もいいが、21日出演の白井和之は長くてしかも美脚で、惚れ惚れしてしまった。ナルシストっぽいのも面白い。個人的には、この役はバリトンでなくテノールのほうがいい気もする。テノールが多すぎ!になるけれど。

乳母は、20日出演の茶髪の丸山奈津美がより存在感があって面白い。

グレゴリオはこれも20日出演の和田ひでき(バリトン)が個性的で面白い。

 

2日目は、舞踏会のワルツや合唱は初日より良化していたと思う。

やはり2日間とも行って良かった。

 

最後は番外。

二期会もこのオペラをオールスターキャストでやって欲しいなぁ。

ウケ狙い丸出しになるが、

ロミ・ジュリは錦織健と澤畑恵美(きゃぁー最高!実現して!!)

ティボルトは、あえて福井敬(福井さんのファンが怒るかも)

マキューシオはイイ男の黒田博(カッコイイ〜だろうな)

ステファノは林美智子(ズボン役で最も期待できる人でしょう)

乳母は西明美か岩森美里(ぜいたくだよね)

ここまでやればスゴイのだが(笑)

番外の番外、ここまでやれば、佐藤しのぶのジュリエットも観たくなるだろうなぁ。

 

 

 

 

 

クョスコニョ    [1] 
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