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2003年回顧
「ラ・シル」と「パキータ」
 
 

新国立劇場バレエ団「ラ・シルフィード」「パキータ」

 

日時:6月28日/7月2日

場所:新国立劇場オペラ劇場

 

主な配役(6月28日)

「ラ・シルフィード」

ラ・シルフィード・・・・・志賀三佐枝

ジェームズ・・・・・・・・小嶋直也

エフィ・・・・・・・・・・中村美佳

グァーン・・・・・・・・・マイレン・トレウバエフ

マッジ・・・・・・・・・・西川貴子

第一シルフ・・・・・・・・湯川麻美子

「パキータ」

パキータ・・・・・・・・・ディアナ・ヴィシニョーワ

リュシアン・・・・・・・・イーゴリ・コールプ

パ・ド・トロワ・・・・・・西山裕子/遠藤睦子/グリゴリー・バリノフ

 

主な配役(7月2日)

「ラ・シルフィード」

ラ・シルフィード・・・・・西山裕子

ジェームズ・・・・・・・・逸見智彦

エフィ・・・・・・・・・・高橋有里

グァーン・・・・・・・・・奥田慎也

マッジ・・・・・・・・・・西川貴子

第一シルフ・・・・・・・・前田新奈

「パキータ」

パキータ・・・・・・・・・志賀三佐枝

リュシアン・・・・・・・・デニス・マトヴィエンコ

パ・ド・トロワ・・・・・・鹿野沙絵子/丸尾孝子/吉本泰久

 

 

 

   「ラ・シル」と「パキータ」
 

まず、両演目で主演した志賀三佐枝の充実振りが目についた。どんなに誉めても、誉めすぎになることはない、と言ってもいいくらいだ。もはや、同僚の宮内真理子を凌駕している、と言っても過言ではない。ラ・シルフィードでは、けれんみのない正攻法の踊りで、技巧も音楽性も高いレベルで安定し、パキータでもグランフェッテが圧巻だった。

しかし、ラ・シルフィード役においては、より感動させたのは、西山裕子である。(彼女にいつも冷たい)牧阿佐美芸術監督も、初演(2000年)に続いて主役を任せたのだから、よほど高く評価しているのだろう。たおやかで、最期まで心優しいシルフィードだった。2幕では、ラ・シルフィードと他のシルフたちの群舞が音楽とシンクロして、美しい幻想の世界を作り出す。彼女のシルフを観ていると、どうしてジェームズとシルフィードは結婚できないのか、と、悔やまれてしまう。

初演に続き、ジェームズ役の小嶋直也は、ジェームズをして“自己中心的な嫌な男”と捉えているようだが、彼のいつもながらの妙技は、ここでは酷薄な美しさに満ち満ちている。濃厚でないことを食い足りなく思う向きもあるでしょうが。いい意味で裏切られたのが、逸見智彦のジェームズだ。思っていたより陰険なジェームズで(マトヴィエンコは愚かな憎めない男だった)、いつもは気に食わないな、と思っている彼の無表情が、ここではとても効果的。できれば、山本隆之のジェームズも見てみたかった。

脇役では、エフィは、可憐で軽やかな中村美佳と、地に足をつけた女性像を描く高橋有里が、甲乙をつけがたい出来。特に中村は、シルフ役も観てみたい、と思っている。

グァーンは、技巧ではトレウバエフだが、グァーンの怒り、哀しみ、屈折、といった感情面は、奥田慎也のほうが良く描けていた。

マッジの西川貴子は、2度目の出演だが、この間に主役も経験して自信がついたのか、存在感を増していた。

「パキータ」は、ゲストが精彩を欠き、これは期待はずれ。マトヴィエンコだけは、キチンと準備が出来ていたけれど。コール・ドゥの鹿野沙絵子(現在はコリフェ)、丸尾孝子は健闘したが、回転の精度等では、やはりソリスト組に一日の長がある。バリニフ、吉本はテクニックを見せて沸かせた。コール・ドゥも健闘した。

クョスコニョ    [1] 
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